一般内科
かぜ、腹痛、下痢、頭痛、めまいなどの急性の症状から、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病まで、内科系疾患全般に幅広く対応いたします。何となく調子が悪い、何科を受診したらよいかわからない場合でもご相談ください。
日常的な健康を把握・維持・治療することが、かかりつけ医の使命と考えています。西洋医学と東洋医学の良さを融合させた統合医療で丁寧に診察を行い、責任をもって診断・治療を行います。診断の結果、より専門的な検査や治療が必要と判断、あるいはご希望される場合は、適切な専門医療機関をご紹介させていただきます。

かぜ、のどの痛み

かぜ(感冒)とは、「はな」「のど」「せき」の3症状が同時に同程度存在する病態をいいます。一般的には、症状が出始めてから、3~4日目に症状のピークを迎え、7~10日前後で自然治癒します。
かぜの原因の多くは、ウイルス性(ライノウイルスが最多)で抗生剤の効果がない病気ですので、対処療法(病気の原因を治療するのではなく、発熱、咳などの症状を和らげる治療)で経過をみます。症状緩和のため解熱鎮痛剤やうがい薬の処方が一般的ですが、この分野で力を発揮するのが漢方薬です。来院時の状態から「陰陽虚実」3つのパターンの内、どれに当てはまるか診察(問診、脈や発汗の有無など)させて頂き、人間が本来持つ自然治癒の力を高めて治します。A群β溶連菌感染症による咽頭・扁桃炎、徐々に悪化する症状、二峰性の発熱(一旦解熱して、半日~1日ほどで再び発熱すること)など細菌感染の合併を疑う場合やインフルエンザウイルス感染症などには、各感染症に準じた処方(抗生剤や抗インフルエンザ薬など)を行います。
かぜ、のどの痛み

かぜで使用する漢方薬

  • 陽証、実証と判断した場合:大青竜湯、麻黄湯、葛根湯、桂枝二越婢一湯など
  • 陽証、虚証と判断した場合:桂枝湯、桂枝加葛根湯など
  • 陰証、虚証と判断した場合:麻黄附子細辛湯など
その他、風邪にかからない身体づくりなど、日常的な健康維持をサポートする漢方薬もありますので、一度ご相談ください。

用語の説明

陽証/陰証:陽証の方は、体熱感が強く、脈が浮く。陰証の方は、寒気や倦怠感が強く、脈が沈む。
実証/虚証:風邪になった時の生体側の反応。実証の方は、病原体に強く反応するため、高熱・汗なし・脈が強く触れる。虚証の方は、反応が弱く、熱がそれほど出ず・汗をかき・脈が弱い。

せき(咳)

せき(咳)は,気道内にたまった分泌物(痰)や異物を気道の外に排除するための生体防御反応ですが、咳が続くと体力的にもきつくなります。咳の持続期間によって下記のような病気が考えられます。問診や採血、胸部レントゲン検査を行い、鑑別し、各疾患に準じた治療を行います。気管支炎や肺炎の場合、西洋薬とともに、漢方薬も治療の選択肢になります。
漢方学的には、気管支炎や肺炎などのよる咳は半表半裏(現代医学的には肺、心臓、上部消化管の範囲)に病邪が存在する時に出現するとされていますので、柴胡剤(柴胡桂枝湯など)を主軸に半夏厚朴湯や麦門冬湯などを併用して治療します。

咳の種類と関連する病気

  • 急性の咳(3週間未満):急性気管支炎、肺炎、肺塞栓、心不全
  • 遷延性の咳(3~8週):後鼻漏、咳喘息、感染後咳嗽(百日咳、マイコプラズマなど)、逆流性食道炎、薬剤性、肺がん
  • 慢性の咳(8週間以上):慢性閉塞性肺疾患(COPD)、咳喘息、後鼻漏、逆流性食道炎、肺がん

胸やけ

胸やけとは、胃の辺りから胸にかけて上昇する灼熱感(胃酸が上がってくるような感覚、ヒリヒリした痛み)を伴う症状のことです。逆流性食道炎の典型的な症状の一つですが、以下の病気も鑑別にあがります。時に心臓の病気(狭心症や心筋梗塞)のこともありますので、発症時期や持続時間、治療中の病気の有無など詳しい情報が必要になります。
下記の中で緊急性の高い病気が否定できれば、逆流性食道炎に対する治療を行います。生活指導(暴飲暴食を避ける、食後すぐに横にならない、ファウラー体位:就寝時に上半身を少し高くする体位)とプロトンポンプ阻害薬(PPI)の内服で経過をみます。通常であれば1~2週間程度の服用で症状が改善しますが、PPIの効果が不良な場合には、内視鏡検査を行うことをお勧めします。検査で異常がなく、生活指導や西洋薬でも改善に乏しい場合は、漢方薬での治療も行っています。
胸やけ

考えられる病気

機能性ディスペプシア、消化性潰瘍、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)、胃がん、食道がん、食道アカラシア

胸痛

胸部には、肺、胸膜、心臓、心膜、神経、骨、筋肉などが存在します。いずれの部位も、障害されれば胸痛の原因になります。
一般的に肺や心臓の病気は、緊急性が高い病気が多いです。中でも気胸、急性冠症候群(不安定狭心症、急性心筋梗塞)、大動脈解離、肺塞栓症などの病気は緊急性の高い病気です。痛みの部位、性状、持続時間、増悪因子(労作、深呼吸などで症状が悪化する)、随伴する症状(冷汗、発熱、嘔吐などを伴う) などの情報は診断のための重要な手がかりになります。
胸痛

胸痛の原因となる病気

  • 心血管系の病気:狭心症、心筋梗塞、大動脈解離、心膜炎
  • 肺の病気:肺炎、気胸、肺塞栓症、胸膜炎
  • 神経、骨、筋肉の病気:帯状疱疹、肋骨骨折、肋間神経痛
  • 神経症:心臓神経症
  • 消化器系の病気:逆流性食道炎、胆のう炎、膵炎

息切れ(呼吸困難)

息切れは、体が必要とする酸素量を供給できなくなると出現します。階段や坂道で徐々に息切れがひどくなってきた方は要注意です。酸素を体内に供給するためには、肺・心臓・赤血球・ホルモンなどが正常に働いている必要がありますので、これらの異常で息切れが起こります。
息切れ(呼吸困難)

息切れの原因となる病気

  • 肺の病気:肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、気胸、肺塞栓症
  • 心臓の病気:心不全(心筋症、虚血性心疾患、心臓弁膜症など)
  • 血液の病気:鉄欠乏性貧血、骨髄異形成症候群、白血病
  • ホルモンの異常:甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
  • 神経の病気:筋萎縮性側索硬化症
  • 精神の異常:過換気症候群、心身症
特に肺や心臓の病気は早期発見・早期治療が重要ですので、追加で精査・治療が必要な場合は、各疾患の専門医がいる病院へ紹介します。

むくみ(浮腫(ふしゅ))

むくみは医学用語で浮腫と言います。貧血や低栄養状態、心臓や腎臓の機能低下、静脈やリンパ管の流れの停滞などにより、水分や老廃物の流れがよどみ、血管外に漏れ出し、皮膚の下に貯留する結果、むくみ(浮腫)が出現します。足のすねなど、むくみのある部分を強く押すと、へこみが見られます。全身性の浮腫には心臓、腎臓、肝臓、甲状腺に関連する病気、あるいは薬剤が原因となります。右手あるいは右足のみがむくむ、局所性の浮腫の場合は、蜂窩織炎、乳がん・婦人科がんの術後、エコノミークラス症候群(深部下肢静脈血栓症)、下肢静脈瘤などの影響を考えます。その他、明らかな原因・病気がなくとも、長時間同じ姿勢を取っている事などによって生じる特発性浮腫もあります。若~中年女性に多く、下肢に現れやすいのですが、検査では異常を認めないことが特徴です。浮腫は様々な身体の不調が原因となることが多いため、放置せずに検査を受けることが大切です。
各病気に準じた治療薬を服用していただきます。心不全や腎不全などの場合は減塩、特発性浮腫の場合は適度な運動や冷えの改善など生活習慣の調整も重要です。漢方学的には、浮腫は、水毒(すいどく)・お血(血の巡りが悪い)が原因と考えますので、五苓散や木防已湯などの利水剤、桂枝茯苓丸や当帰芍薬散などの駆お血剤が選択肢になります。西洋薬で使用する利尿剤は、過剰になると脱水や電解質(ミネラル)異常を招くことがあります。漢方薬である利水剤を併用することで、そういったリスクや服用中の利尿剤を減らす事が可能な場合もあります。

食欲がない(食欲低下)

食欲は、ホルモンや血糖などの液性情報のほか、内臓の各受容器から送られてくる神経性情報など様々な要素が、視床下部にある摂食中枢と満腹中枢を刺激することにより調整されています。この一連のシステムのどこかに障害が起こると食欲が低下します。大きく分けて4つに分類されます。
何が原因で食欲不振になっているのかが重要で、各病気に準じた検査と治療を行います。多くは正確な診断と適切な治療で治癒しますが、中には原因が特定出来ないもの、特定出来ても一般的な対処療法に反応が不良なものもあります。漢方学的には、食欲不振を気虚(ききょ)、水毒、気うつ、冷えと考えることができますので、それぞれの病態に沿った漢方薬を選択します。

食欲低下の原因となる病気

  • 機能性:胃腸の動きや消化・吸収力が低下する事によって起こるもの。
    機能性ディスペプシア(胃潰瘍などの異常がないにも関わらず、胃の痛みや胃もたれなどの不快な症状を起こす病気)
  • 器質性:感染症、がん、内分泌疾患などにより起こるもの。
    胃潰瘍、胃がん、膵がん、感染性胃腸炎、甲状腺機能低下症、高カルシウム血症、低ナトリウム血症、副腎機能低下症
  • 薬剤性:薬が原因で起こるもの。
    抗生剤、痛み止め、モルヒネ、鉄剤
  • 心因性:ストレスや精神障害(うつなど)によるもの。

吐き気(悪心)・嘔吐

吐き気や胸のムカムカなどの症状の多くは、消化器系の病気が原因と考えられます。しかし、緊急を要する病気を含めて消化器系以外の病気も多数ありますので、しっかり診断する必要があります。吐き気の症状以外に、胃痛や胸痛はないか、持病の有無、数日内の食事内容などを問診させていただき、鑑別していきます。

吐き気・嘔吐の原因となる病気

  • 消化器疾患:急性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、膵炎、虫垂炎、腸閉塞
  • 消化器疾患以外
脳疾患 脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍
耳鼻科疾患 耳性めまい、特発性難聴
心疾患 心筋梗塞
代謝性疾患 尿毒症(腎機能の極度の低下が原因)、糖尿病性ケトアシドーシス
泌尿器疾患 腎盂腎炎
産科 妊娠性悪阻
アレルギー性疾患 アナフィラキシー、消化管アレルギー
精神科疾患 拒食症

下痢

軟便または水様便が1日3回以上(普段の排便回数より多い回数)排泄される事を下痢といいます。急な症状として、吐き気、嘔吐、下痢があれば、頻度として感染性胃腸炎によるものが多いのですが、中には炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)や過敏性腸症候群などの慢性的な下痢を来す疾患もあり、慎重な鑑別が必要です。そのため、下痢が比較的長期に及ぶ場合は、内視鏡検査が必要です。
急性の下痢に対しては、点滴や経口摂取による脱水補正を行うと同時に、整腸剤や制吐剤を処方します。サルモネラ腸炎やカンピロバクター腸炎を疑う場合は抗生剤の投与を検討します。補助として、五苓散や黄芩湯などの漢方薬も検討します。炎症性腸疾患や過敏性腸症候群のような慢性下痢の治療においては、消化器専門医と連携をとります。中には、漢方薬が効果的な慢性下痢もありますので、お困りの方は一度ご相談ください。
下痢

下痢で使用する漢方薬

半夏瀉心湯、四逆散、中建中湯、小建中湯が候補にあがります。また、体の冷えが強い下痢の方には、人参湯、真武湯、茯苓四逆湯が候補になります。

内分泌疾患(ホルモンの異常)

「ホルモン」とは、甲状腺や副腎などの内分泌臓器から分泌され、体液にのって標的器官へ運ばれ、生命機能維持に重要な働きをする物質です。血液の中にごく微量しか存在しませんが、これらのホルモンの分泌異常が起こると、心身に様々な影響が出てきます。内分泌疾患は、高血圧症、糖尿病、肥満症、更年期障害、うつ、尿路結石、骨粗しょう症など、別の病気と似た症状や病態になることもありますので、一度は内分泌系の疾患であるかどうか、検査することをお勧めします。
内分泌疾患は多岐にわたりますが、一部をご紹介します。

甲状腺、副甲状腺

甲状腺は、「のどぼとけ」の下に位置し、蝶が羽根を広げたような形をしており、全身の新陳代謝を促進する甲状腺ホルモンを分泌しています。副甲状腺は、甲状腺の裏にある小さな米粒大の臓器で、副甲状腺ホルモンを分泌し、骨や腎臓に作用してカルシウムを調節しています。

橋本病

甲状腺ホルモンの量が不足することで、体がだるい、疲れやすい、やる気が出ない、寒がりになる、食欲が落ちるなどの症状が出現します。血液検査(甲状腺ホルモン、自己抗体)と甲状腺エコー検査で診断し、甲状腺機能低下が確認できれば、甲状腺ホルモンを補充して治療します。

バセドウ病

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、動悸、体重が減る、手のふるえ、目が飛び出るなどの症状が出現します。放置すると、心不全や心房細動などの不整脈を発症するケースもありますし、この状態で何らかの強いストレスが加わると甲状腺クリーゼという非常に危険な病気になる場合もあり、注意が必要です。治療には、抗甲状腺薬、アイソトープ治療、手術療法があります。内服を中心に治療を行いますが、アイソトープ治療や手術が必要と判断した場合は、甲状腺の専門医療機関にご紹介します。

原発性副甲状腺機能亢進症

副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、高カルシウム血症になり、多尿や嘔気・嘔吐などの症状が出現するほか、尿路結石や骨粗しょう症の原因となります。治療は手術と薬物療法があります。

副腎

副腎は、左右の腎臓の上にある小さな三角形の臓器ですが、ステロイドホルモン(コルチゾール、アルドステロン、性ホルモン)やカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)などを分泌し、代謝の調整、ストレス緩和、ミネラルの調節、循環器系の制御など生命維持に欠かせない働きを行っています。これら副腎のホルモン異常により、全身がだるい、食欲がわかない、体重が減る(もしくは体重増加)、体に力が入らないなどの症状を認めるほか、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満症などの病気が出現します。副腎のホルモンは、当クリニックでも検査可能ですが、正確な診断を行うには、画像検査やホルモンバランスをみる負荷試験などを行う必要があり、疑わしい場合は専門医療機関に紹介することになります。

副腎の内分泌疾患

副腎不全、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などがあります。