漢方内科
一人ひとりに合ったオーダーメイドな漢方治療
漢方医学には、「中庸:個人のバランスの取れた本来の状態」という考え方があります。漢方診療においては、患者さんの体質、症状、診察所見から病気の全体像をとらえ、からだ全体の不調和を「中庸」に戻すことを目標としています。
当クリニックでは、漢方診療独特の診察を行い、からだの不調の原因を探り、一人ひとりに合ったオーダーメイドな治療を提供します。漢方薬=万能薬ではありませんが、人が本来持つ「治(なお)そう」とする力を引き出すことができます。西洋医学的に診断できない、あるいは西洋医学的な治療では十分な効果が得られない身体・精神的な不調も漢方医学的治療が有効な場合が多々あります。
今までお悩みの体調不良に関して、一度ご相談ください。

診療の流れ

漢方医学で重要な診察方法である四診(※)を行い、患者さんごとの情報を抜き出し、処方する漢方薬を選んでいきます。
必要に応じて、電気温鍼(冷えの状態を確認する検査)を行います。
※四診:漢方医学で用いる4つの診察方法、「望診」「聞診」「問診」「切診」のこと
STEP
望診
患者さんを見て、顔色や立ち振る舞い、皮膚や爪の状態をみます。切診の時に、舌の色・形・苔の状態を確認します。
STEP
聞診
声の調子、話し方、お腹の調子などを確認します。
STEP
問診
暑がりなのか寒がりなのか、汗の有無、尿や排便の回数、疲労や驚きやすさ、どのような状況で症状が悪化するか、などをお伺いします。(※診察前に、問診票をお渡ししますので、記載をお願いします)
STEP
切診
手首の橈骨動脈に触れ(脈診)、お腹の診察(腹診)をします。

電気温鍼について

背中のツボに鍼(はり)を打ち、その上から電気温熱器で温め、冷えの程度をみる検査です。検査以外に治療にも使います。冷え症、肩こり、腰痛など温める事で症状を改善させます。
電気温鍼

漢方薬について

漢方薬には2種類あります。
当クリニックでは、多くの医療機関で処方されているエキス製剤(粉薬)や丸薬だけでなく、煎じ薬(生薬)も揃えています。
それぞれ一長一短があり、どちらでも自由に選択できます。診察時に相談しながら、決めていきましょう。

エキス剤

エキス剤とは、煎じた生薬の液体成分からそのエキスを抽出し、顆粒や粉末などに加工したものです。効果の面で煎じ薬にやや劣るものの、携帯性や保存性に優れています。

飲み方

コップ一杯(50~100ml)のお湯に溶かして、空腹時に服用しましょう。 お湯に溶かすことにより、有効成分が吸収されやすくなります。溶け残ったエキス剤も最後まで飲み干してください。吐き気がある場合は、冷水で飲むと飲みやすくなります。
※空腹時とは、食事の30分以上前、または食後2~3時間ほどが目安です。

煎じ薬(生薬)

煎じ薬(生薬)は、自然界に存在する動植物・鉱物の薬効部位を使った薬のことです。煎じ薬は生薬の力を最大限に引き出すことができ、かつ生薬の分量を患者さんごとに調整できる点が最大のメリットです。煎じる時間など手間がかかります。
煎じ薬

煎じ方と飲み方

生薬の分量により水の量は変わりますが、生薬1袋(1日分約40g)を適量の水(約600ml)に30分間浸します。 沸騰するまで中火にかけます。沸騰してきたら弱火にし、さらに15分煮出します。その後すぐに茶こしで、生薬を取り出します。 約300mlの煎じ薬ができます。これが1日量です。これを1日3回、食間(空腹時)に分けてのみます。必ず、その日のうちに飲みましょう。
※煎じる時にはホーローやガラスなどのお鍋や土瓶などで行いましょう。生薬の成分と反応を起こす鉄、アルミ、銅の鍋は避けてください。煎じ器があると簡単にできるのでおすすめです。

漢方薬と西洋薬の違い

漢方医学は、患者さんの症状や体質、体のバランス、気の流れなどを診察し、自然界に存在する動植物・鉱物の薬効部位を使った薬を調合し患者さんごとに処方を行います。そして、人間が本来持っている自然治癒力を引き出し、症状の緩和や疾患の改善につなげます。
西洋医学は血液検査や画像診断などを行い、病気の原因を突き止め、症状を緩和、改善するための薬が処方されます。症状が起こっている器官に直接アプローチし、ピンポイントで治すという考え方です。
薬を選ぶにあたって、漢方薬と西洋薬それぞれメリット・デメリットがあり、いちがいにどちらが良い・悪いと判断することはできません。医師が患者さんの症状を見極め、飲み合わせなどに注意して処方いたします。分からないことは、お気軽にご相談ください。

漢方治療が有効な症状や病気

下記のような症状や病気が対象となりますが、その他に気になる症状があれば、一度ご相談ください。
漢方薬単独あるいは西洋薬も併用しながら治療にあたります。

小児

漢方薬は飲めるお子さんとそうでないお子さんがいらっしゃいます。まずはご相談ください。

主な症状

起立性調節障害:朝調子が悪い、朝起きれない
湿疹(アトピー性皮膚炎)
夜尿症:おねしょ
食欲不振、腹痛(主に過敏性腸症候群)、下痢、便秘
頭痛
冷え性 など

成人

主な症状

全身倦怠感、疲れやすい、肩こり
頭痛:特に天候、気圧、冷え、ストレスにより誘発されるもの
冷え、冷えによる諸症状(痛み、倦怠感、しもやけ、お腹が冷たい)
消化器症状(胃部不快感、食欲不振、腹痛、下痢、便秘)
月経不順、月経痛、更年期障害、のぼせ
浮腫
不眠、不安感、抑うつ気分(うつ病などはっきりしたものがあれば心療内科や精神科と併診が必要です)
めまい
湿疹、アトピー性皮膚炎
動悸
肥満
口腔内乾燥(口が渇く、唾液が出ない)
腰痛、膝痛、関節痛(へバーデン結節など)
神経痛(三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛、坐骨神経痛など)
繰り返す膀胱炎 など

よくあるご質問

エキス剤と煎じ薬は効果が違いますか?
エキス剤は、製薬会社によって生薬を煎じて抽出したものを加工して作られています。そのため決まった処方しか準備できないため、患者様の症状に合わせた細かい対応ができません。 一方で煎じ薬は生薬の分量や種類を患者さんの症状に合わせて、変更することができるため、オーダーメイドな治療が可能です。煎じ薬をドリップコーヒー、エキス剤をインスタントコーヒーに例えるとわかりやすいと思います。
旅行で何日間か家を離れる場合どうしたらいいでしょうか?
ご旅行などで持ち運ぶ場合は保存状態が不安定なため、1日分まで持ち運ぶのがいいと思います。その際も、保温性のある水筒に入れましょう。また、直接飲むタイプの水筒は、雑菌が繁殖しやすいため、コップに注いで飲むことをおすすめします。その他、ご旅行や出張などで煎じられない場合は、その期間だけエキス剤で飲む方法もございますので、お気軽にご相談ください。
漢方薬は毎日決められた時間に飲まないといけませんか?
漢方薬の服用時間は、主に食事と食事の間または空腹時がよいとされています。ですが、服用時間にあまり神経質になる必要はありません。食間または空腹時に飲めない場合は1日分を適宜な時に飲むこともできます。まずはご相談ください。
漢方薬を飲むうえで、日常生活の中で気をつけた方がよいことはありますか?
患者さんの疾病のなかには、日常生活を見直すことによって、漢方の効果をあげることもできます。日頃の不摂生や過労は病気の原因や、症状悪化につながりますので、この機会にぜひ生活習慣の見直しをされてはいかがでしょう。
赤ちゃんや幼い子どもでも漢方薬は飲めますか?
漢方薬には独特の匂いと味があって、小さなお子さんは飲めないこともあります。最初に飲みやすい漢方薬を使用したり、少量から始めて徐々に量を増やしたりと工夫しながら、また、ご相談させていただきながら進めますので、分からない点などお気軽にご相談ください。