健康診断は病気の早期発見だけでなく、病気の予防にもつながります。定期的に検査を受けて、その結果を正しく理解することが将来の健康を守るために大きく役立ちます。当院では、自治体や会社などで受けた健康診断の結果についてアドバイスを行ったり、必要に応じて追加の検査や治療を行います。健康診断で指摘されたさまざまな異常に関して、お気軽にご相談ください。
健康診断の結果の見方
異常なし
正常範囲です。問題ありません。引き続き、生活習慣に気をつけて、定期的に健診を受けてください。
要経過観察・要再検査
数値が正常な範囲ではありませんでした。しかし、緊急を要する数値ではないため、定期的な検査で経過を観察し、生活習慣の見直しをしましょう。
要精密検査
必ず異常があるわけではありませんが、より詳しく検査を受ける必要があります。結果によっては、病気の診断がつくこともあれば、異常なしという結論になることもあります。気負いすぎず、早期発見のためにも受診をおすすめします。
要治療
治療が必要な病気が発見されたということです。できるだけ早く医師の診断を受け、必要な検査や治療を行う必要があります。まずはご相談ください。
検査項目について
血圧
血流が血管の壁にかける圧のことを「血圧」といいます。健康診断の場での血圧測定は普段と環境が変わることで緊張し、その場だけ高い数値が出るということはよくあります。より正確な数値を見るために、定期的な血圧測定が推奨されます。診察室血圧が140/90mmHg以上、または家庭血圧で135/85mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。高血圧と指摘された場合には、動脈硬化や心筋梗塞・脳卒中のリスクが高くなります。治療は高血圧となる原因を特定して、食事療法や運動療法を行います。
コレステロール
LDLコレステロール(悪玉)とHDLコレステロール(善玉)の2種類があります。LDLコレステロールや中性脂肪の数値が高すぎたり、HDLコレステロールの数値が低すぎる場合には自覚症状はありませんが、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの重大な血管系の病気のリスクが高まります。
偏った食生活やアルコールの過剰摂取、運動不足などが関連していて、コレステロールの異常を指摘された場合には、まず生活習慣の見直しが必要です。
血糖値
血液中のブドウ糖の濃度のことを「血糖値」と呼びます。血糖値が高い状態が続く病気が「糖尿病」です。症状を放置していると動脈硬化や脳出血、脳梗塞、心筋梗塞を発症する発症することがあります。また、毛細血管への負担も大きいため足指の壊死、失明、腎機能の障害といった合併症を引き起こす恐れがあります。糖尿病の初期は、自覚症状があまりなく気づかないうちに進行します。健康診断などで血糖値の異常を指摘されたら早めに医師の診察を受けましょう。
メタボリックシンドローム
血圧、血糖、脂質の数値、腹囲から総合的に診断します。メタボリックシンドロームは、高血圧や糖尿病、脂質異常症のいずれかが合併し、体内に内臓脂肪が多く蓄積された状態です。放置していると動脈硬化を引き起こす恐れがあります。それぞれの数値は治療が必要なほどではないため、受診しないケースが多いのですが、メタボリックシンドロームの指摘を受けたら、まずは医師の診察を受けましょう。減量を念頭に置いた生活習慣の改善が必要です。
尿酸値
プリン体からつくられる尿酸の血中濃度のことを「尿酸値」と言います。尿酸値が高い場合、血管や腎臓に負担をかけ痛風発作を引き起こすことがあります。尿酸はプリン体から作られますので、プリン体を多く含む食品や飲料を控える必要があります。食品では内臓や肉・魚などにプリン体が多く含まれます。飲料ではビールが有名ですが、アルコールそのものにも尿酸値を上げる働きがありますので、飲み過ぎには注意が必要です。また、適度な運動を行い健康管理していく事が重要です。
肝機能
体の細胞内にある酵素であるAST(GOT)、ALT(GTP)の数値を調べて肝機能障害の有無を判定します。肝機能障害の原因としては、アルコールや肥満による脂肪肝が圧倒的に多く、その他ウイルス感染、服用している薬の影響などがあるため、早急な治療が必要ではないかを調べるためにも精密検査が不可欠になります。肝機能障害は進行すると黄疸・腹水・肝臓がんの合併や胃食道静脈瘤の形成や破裂などに至ることもあります。肝機能に異常を指摘された場合は、一度受診して原因を調べてみましょう。
貧血
貧血は、血液検査により血液中の赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットを調べて診断します。女性に多い鉄分不足によるものだけでなく、体内で出血が起こっていて貧血が起こっているケースがあります。日常生活において感じる貧血の症状は軽視しがちです。貧血が現れるほど出血している場合、できるだけ早く受診して原因をつきとめることが重要になります。また胃カメラ検査や便潜血検査もおすすめします。健康診断で貧血を指摘された場合、医療機関を受診し医師の判断を仰ぎましょう。
尿検査
尿検査では、血尿の有無、尿中に含まれる糖やタンパク質の量を調べます。正常値を超える場合は尿路感染症、尿路結石、腎機能障害、腎炎、糖尿病などが疑われます。異常が合った場合には再検査、精密検査が必要となりますが、尿の状態は飲食物や体調の影響を受けやすいため、引っ掛かったからといって、過度に心配する必要はありません。普段から強い痛みなどの症状がある方は、すぐに医療機関を受診し検査を受けましょう。
心電図
心電図検査では、不整脈や狭心症、心筋梗塞、その他の心臓病の兆候がないかを調べます。普段から息切れや胸の痛みなどの症状があり、心電図に異常が指摘された場合には心臓病の可能性がありますので、できるだけ早い受診をおすすめします。また専門医の精査が必要と考えられる場合は、他の医療機関をご紹介いたします。